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masterpiece

Composer : xima

(新聞記事が貼ってある)

 後の世に「人物画の父」と評される画家、テオ=クリスタラー(1860-1927)。画風は古典主義の流れを汲みつつも、独自の世界観を以て、とりわけ肖像画に改革をもたらした。彼の代表作《マイン・トロスト》は、憂愁とも幸福とも言えぬ感情を湛えた長髪の女性が描かれており、人々を魅了し続けている――。
 しかしながら本作の構図は極めて単純であり、白く可憐な花の上に横たわる女性の上半身が描かれているのみで、年代を推定できるような物品が一切無い。また服装もクリスタラーの活動年代とは無縁な1600年代後半のものであり、女性のモデルも不明。

 ​美術史から隔絶された謎多き絵画でもあり、それが〝彼女〟の魅力をいっそう高めているとも言える。

 このたび、新進気鋭の劇団「ソフィア」は、そんな《マイン・トロスト》をテーマにした作品を発表した。各地の学芸員と研究した絵画のルーツを表現する。

【あらすじ】
 修復工学を学ぶ大学院生アレクシスは、ある日絵画館での実習中に見知らぬ学芸員に誘われ、《マイン=トロスト》の分析現場を目の当たりにする。
 特殊カメラに映し出されたのは、絵の具で塗りつぶされた見えないキャンバスに走り書きされた「シャロンとの別れ - 死」の文字。この謎のメモを手がかりとし、アレクシスは稀代の傑作に描かれた女性のルーツを追おうとする。

​(背後から誰かの視線を感じる……)

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