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Mirrorge
Composer : MiRAGE
あなたはだあれ?
―私はあなた。
わたしはだあれ?
―あなたは私。
わたしは毎日鏡に向けて問いかける。
自分の存在を確かめるように。
自分が「ここ」にいるとわかるように。
赤い目がこちらを見るのをみて、わたしはとっても安心しました。
あなたはだあれ?
―私はあなた。
わたしはだあれ?
―あなたは私。
周りのみんなはわたしを変だという。
でもそんなあなたたちは、わたしが誰なのか、知らない。
わたしが誰で、何者で、どういう人間なのか。
誰も答えようともしない。
ただ頭のおかしい子として扱うだけ。
あなたはだあれ?
―私はあなた?
わたしはだあれ?
―あなたは私?
おかしいな。
いつもなら、鏡の向こうのわたしは、ちゃんと答えてくれるのに。
お父さんもお母さんも、誰もまともに取り合ってくれなかったのに。
あなたはだあれ?
―私はあなた?
わたしはだあれ?
―あなたは私?
同じ質問ばっかりだから飽きちゃったのかな。
目のことをいっぱい質問したら、
お父さんもお母さんもいなくなっちゃったのに、
あなたもいなくなるの?
あなたはだあれ?
―私はあなた?
わたしはだあれ?
―あなたは私?
さいきんはあたまがいたい。
いつもは鏡を見れば安心するはずなのに。
そこにわたしが、いるって。
わかるのに。
鏡の向こうのわたしがわらった気がする。
なんで?
あなたはだあれ?
私はだあれ?
もうだめだ、と思ったら、鏡はわれていました。
割れているから、私は私がわかりません。
唯一あった手鏡を見れば。
「私の」赤い目が映っていました。
―帝国暦19XX年11月11日、居住区8-35-409
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