Contiued Future
Composer : TO-MAX
明日をあなたがどれほど待ち焦がれようが、
明日をあなたがどれほど憎もうが、
明日は平等にやってくる。
同じように、あたしにも、あなたにも、平等に未来はある。
それが自分にとってお先真っ暗~な未来なのかお目目キラキラ~な未来なのかはわかんないですけど。
んえ? 頭悪そうに聞こえるって?
堅苦し~く、難しく喋ってやりましょっか?ん?
えー、未来は色んな多世界の連続体かつ多次元からのストレスが相互的な作用をしていると定義ができて、それぞれの作用は高々有限であるが多世界のどこまでを定義に含めるかで精度を高めると計算量が無限大へ発散してしまうから、数値解析法等による解決が考えられるけど、それを使うとしても人間の多様性がこれもまた精度を高めるとなると無限大へ発散していくから、どちらにせよあたしがここで有限の時間で、かつ口頭で説明する以上、「わからない」としか答えられない。あなたという人間を定義する方程式がすっかり全て証明されない限り答える入口にすら立てないだろう。
なんてね。
……どう? 頭痛い?
あはは、それは良かった。
あたしだってこんな堅い言い方すんのかったるいですし。
あー、何が言いたいかって言うとですね。
まだ、わかんないから。諦めないで。ってことですよ。
えー? あなたが最初に言ったんですよ? 諦めんなーって私に。
結構感激したんですよ。あの時。
あたしが今のあなたみたいに、何もかもどうでも良くなって、夢や生きる意味すらぶん投げそうになってた時に。
……思い出しました? あたしが誰か。
あはは、まあそれは今は良いんです。
あたしはね、あれからちょこっとだけ前に進んでみたんです。
そしたらちょっとだけ、地面が見えてきたんです。あんなに悪い意味でふわふわしてたのに。
でね、その時に思ったことなんですけど。
未来って不確定じゃないですか。
でもその不確定なモノがここで二つ一緒になるとしたら、もっと不確定さが増すと思いません?
本当に最後にどっちに転がるかなんて誰にもわからないですし。
だから、ここはあたしっていう不確定要素に頼ってみませんかってことですよ。
―少なくとも、今のあなたをよしよししてあげるくらいはできますから。
―――
――
―
懐かしい夢を見た。
最初は誰だかわからなかったが、まさかあいつに励まされるなんて、俺もヤキが回ったと思った。
でも、それが不思議と心地よかったのを、今でも、覚えている。それが今の俺の原動力でもある。
そのせいか、心が折れそうになった時や、諦めかけた時。
決まってあいつのにやけ顔がちらつくようになってしまった。
やれやれ、と思いながら、もう少し、道なき道を歩んでみよう、と重い足を上げる。
それをあいつは望んでいる気がして、そしてそれを自分も望んでいる気がして、
面映ゆい気持ちになりながら、どうにかこうにか、歩こう。と思うのである。
どこからか、聞きなれた声が聞こえる。
やはり、未来というものは、つくづく未確定だ。
そう思った俺は声に応えるのだった。
―帝国暦20YY/YY/YY:「晴れやかな太陽が降り注ぐ丘」にて
あれ。まだあなたいたんですか。
あたしと、彼の物語はここで終わりで、そしてここからずーっと続くんですよ。
彼もとい夫のとこに行きたいんで手短にお願いしますね?
はぁ、そうですか。
あたしは彼と一緒にいたいからこうしたんです。
未来が不確定要素まみれならそれをガシガシ削って、描写すらしなければいいんですよ。
そして叶えたい未来だけを書き込む。そうすればこの物語は未来を確定させることができるんです。
それ以外は書かなくていい。書かなければ起こらない。
書かなきゃ変な出会いも妙な場面展開も「そういうもの」として受け取られるんです。
おっと、この物語を書き換えようったって無駄ですよ。
原本はあたしが持ってるんですから。
あなたはただ結末だけを眺めていてください。
ここから先はあたしと彼がゆっくり暮らすだけなんで。
ただ飛び回るだけのあなたにはそんなの必要ないでしょう?
じゃあ、そういうことで。
―20XX/XX/XX:『第四の壁』付近にて